分子構造

リポフォーの測定結果の解釈


御覧になりたい項目をクリックして選択して下さい。

イルカリポフォーの測定結果
イルカV型類似高脂血症のパターン
イルカミッドバンドと小粒子LDLの判断
イルカデンシトグラムから相対移動度を算出する方法
Lp(a)とミッドバンド

メール アイコン
メール
トップ アイコン
ホーム



a)リポフォーの測定結果


      PAGディスク電気泳動像 リポフォーのデンシトグラム
                            (一般的な報告書)



 デンシトグラムには,分画毎に 分画%が表記されます。

中央検査部や検査センターからの結果報告は,一般的にデンシトグラムで行われ
ています。デンシトグラムを見て,血中のリポ蛋白質の状態を泳動像から予測して
下さい。       

 
b)V型類似高脂血症のパターン

大阪大学医学部分子制御内科学(第2内科)の松沢1)らは,家族性V型高脂血 症それ自体は発現頻度が非常に低いにもかかわらず,日常診療のなかで遭遇す る心筋梗塞患者では,高コレステロールより,むしろ高レムナント・高TGとの関連 を強く示唆する成績が得られ,それを「V型類似のリポ蛋白異常」として報告した。 レムナントと心筋梗塞発症の関連とともに,midbandの出現がレムナントの存在を 強く示唆された。



注)IDL:ミッドバンド
1)松澤佑次:高レムナント血症の診療の実際,メデイカル朝日,1998年9月1日


c)ミッドバンドと小粒子LDLの判断

ミッドバンド( midband )について,三島ら1)はリポフォーのデンシトメトリーパターン を,S・A・N・Dの4分類し,その内N・D群を midband 陽性群としている。

さらに小粒子LDLとして,VLDLのピークからLDLのピークへの距離をVLDLから
HDLのピークへの距離で除した値を相対移動度( MI−index)として提唱し,LDL−MI値が0.28 〜0.32のLDL粒子を正常とし,0.40以上を小粒子LDLが確実に存在すると報告して
いる


S:Symmetry  A:Asymmetry  N:Nodular  D:Disrupted

LDL部分の形状によるリポタンパク電気泳動像の分類

1)三島康男,神坂 謙,木畑正義,安藤 充,菊地 都,岡田康司:ベザフィブレ ート
徐放錠投与 の血清脂質,リポ蛋白電気泳動に及ぼす影響,Therapeutic
Research Vol.14,no.10,1993
2)三島康男,安藤 充,久山文子,石岡達司,木畑正義:簡便なPAG電気泳動
キット(LipoPhor system)を用いたLDL粒子サイズの推定;LipoPrint LDLsystem
との比較,動脈硬化,Vol.25, 67-70,1997


d)デンシトグラムから相対移動度を算出する方法


@デンシトグラムの各ピークより垂線を引きます。
A10p以上のものさしを用意します。
BLDLのピークから引いた垂線をものさしの0pの所に合わせ、
  HDLのピークから引いた垂線が10pに合うようものさしを移動  して下さい。
CLDL、HDLを除いた各ピークから引いた垂線が、ものさしと交   叉するところの
  目盛りを読みとる。
DCで読みとった値を1/10にすると、RM1−INDEX(RM)が   求められる。

詳しくは下図を参照して下さい。





e)Lp(a)とミッドバンド


Lp(a)は,中心にLDLをもち,その周囲に apo(a)と呼ばれる糖蛋白 がS−S 結合によりapoB-100と結合した高分子複合体です1)(図1)。
アガロースゲル電気泳動では,図2に示すようにβとプレβとの中間位に検出され ます。アガロースゲル電気泳動ではミッドバンドと言うとLp(a)をさします1)。Lp(a)は, 遺伝的に規定されたapo(a)の繰り返し構造(クリングル)により,幾つものアイソフォームが存在します。
リポフォーに出現するミッドバンドは,実方ら2)の研究では,少なくとも1つはLp(a) であり,その他レムナントリポ蛋白質も考えられると述べています。ただ、高Lp(a) 濃度の患者のリポフォーの電気泳動像上に必ずしもミッドバンドが出る訳ではなく, まだ不明点があります。千葉大学の斉藤 康先生は3),ミッドバンドの組成は単一でな く、IDL,VLDL,Lp(a),レムナント,さらにLDLの一部も含まれると説明しています。



  図1 Lp(a)の構造モデル


  図2 アガロースゲルによる Lp(a)の電気泳動像




1)大久保 実,村勢敏郎:Lp(a)と動脈硬化,臨床科学,Vol27,No.4,1991
2)実方和宏,渡辺正一,堀内賢治,久保野勝男,高橋正宜,櫻林郁之介:    PAG デイスクリポタンパク分画におけるミッドバンドの成因に関する検討,生物物理  化学,Vol.39,175-181,1995
3)斉藤 康:脂質代謝異常と高レムナント血症,メディカル朝日,1998年3月