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− 臨床意義編 −


 生徒 分離した後はどうするのですか

 担当者 どのくらい分離したかを検出します。いろいろな方法がありますが、もっともよく用いられているのは、目的物質を色素で染める方法です。セア膜を使った蛋白分画では、ポンソーという赤い色素を使います。目的物質が目に見えるようになれば、見ただけでもいろいろなことがわかってきます。
 ほかに、支持体を決まった大きさに切り分けて目的成分を溶かしだして分析する方法や、目的成分に蛍光を発する性質があれば、紫外線を当てて光らせて検出する方法などがあります。

 生徒 目で見て判断するしかないのですか

 担当者 デンシトメトリーという光学的な方法を用いるのが一般的です。

 デンシトメトリーというのは、吸光度(optical density)を測定する(metor)という意味です。臨床検査では、血液中の目的成分と発色試液を反応させ、発色試薬の色の変化を吸光度の変化として検出することによって物質の量を測定していることが多いのですが、原理的にはそれと同じです。液体ではなく、膜上の連続的な吸光度の変化を対象にしている点が違います。

 薄膜上に光を吸収する物質(目的成分)が一様に分布している(A)とき、膜に垂直な方向から光(I')を入射させると、光は膜自身および目的成分に吸収されて弱くなります(I)。目的成分のない部分(B)を通過した光をI0とすると、AのBに対する透過率T、AのBに対する吸光度ODは以下のようになり、透明な膜に目的成分が均一に分布している場合は、「吸光度は濃度に比例する」というBeerの法則が成り立ちます。


T[%]=(I/I0)*100
OD=log10(100/T)=2-log10T
 

泳動膜とデンシトグラム


 上の写真は、蛋白分画泳動膜と、デンシトメトリーの結果です(デンシトグラムの縦軸はOD値)。色の変化につれ高くなったり低くなったりしているのがわかると思います。「赤色が濃い=吸光度が高い=蛋白濃度が高い」ということになります。

 生徒 割合はどうやって測定するのですか

積算値の説明


 担当者 積算値です。数学の積分を覚えていますか? 波形の左端を原点とみなし、x軸と波形の間の面積を求めます。上の図は分画ごとに塗り分けてありますが、この面積の合計に対するそれぞれの分画の面積の割合が分画値です。実際にはとても複雑な計算なので、デンシトメーターに組み込まれた積分計を使って算出します。
 手ごろな計算機が出る前は、波形をろ紙に書き写して切り取り、それぞれの重さを量って計算する方法などが取られていました。

 生徒 分画ってなんですか

 担当者 「目的成分自身を、目的に応じた方法でいくつかのグループに分離する」こと、または「分離されたそれぞれのグループ」のことをいいます。
 たとえば、蛋白分画は電気泳動によって血液中の蛋白を5つのグループに分けることです。「アルブミン分画」のように、分離したグループのことを示すのに使われることもあります。

 なお、分画はあくまでもグループ分けなので、そこにはいろいろな成分が入っています(もちろん、たったひとつの成分であることもあります)。その点を覚えておいてください。



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