質問 | M蛋白と老人性M蛋白との区別または基準が知りたい。 |
回答 | M蛋白血症は、悪性であるか良性であるかの鑑別が重要です。高齢者にも数%の割合でM蛋白がみられますが、多くは病態とは直接関係ない「本態性M蛋白血症」とされ、これを「老人性M蛋白」と呼ぶことがあります。特別な「M蛋白と老人性M蛋白との区別」の方法があるわけではなく、比較的若い人と同様悪性度を判断することになります。具体的な基準については参考文献1) 2)を参照していただくとして、ここでは大原則を紹介します。 悪性M蛋白は、特定の免疫グロブリン(M蛋白)の著増と、その他の免疫グロブリンの抑制を来します1) 3)。M蛋白が経時的に増えてくることもあります。ただし、ベンスジョーンス型など特殊なM蛋白や病態によってははっきりした増加が見られないこともあります2) 4)し、IgM型では、感染により代償的にIgMが増加することがある5)ため、M蛋白量がそのまま悪性度を反映しているとは限らないことに注意が必要です。骨髄像などほかの検査項目や臨床症状、臨床所見に異常があるかどうかで判断してください6)。 いっぽう経過観察となる本態性M蛋白血症は、M蛋白量が少なく、他のグロブリンもあまり抑制されません。また、修飾などにより複数のM蛋白バンドが出る場合は、悪性度は高くないと言われています7)。 なお、本態性であっても他の基礎疾患1)の治療は必要ですし、現在症状がなくても将来発症する確率が高いこともわかってきています8)。 |