第 11 回発表・抄録番号 2

α2領域にM‐bandの認められたIgG‐κ型(サブクラスG4)M蛋白症例 (10)

【症例へのコメント】
  • (司会者)ありがとうございました。α2領域に認められたM蛋白例についてご報告いただきましたが、先程の例と同様、非常に見逃し易い症例かと思われます。ここで注意しなければならないのはα1、α2分画値の変動です。この領域には急性期蛋白質が集合しており、炎症の際には両者が増加することが知られています。それが解離した場合、例えばどちらかが異常高値を示す場合には、このようなM蛋白の存在を念頭に入れる必要があると思います。
     何かご質問ありませんでしょうか。今日は遠いところを、沖縄本島から約300km南下した宮古島から参加してくれた方もいらっしゃいます。Kさんいかがですか。

  • (発言者K)私達の病院では蛋白分画しか行っていないんですが、免疫固定電気泳動法のような分析方法は、私達のような小さな病院でも実施が可能かお聞きしたいです。

  • (発表者)後半のところのAffnity chromatographyで精製IgGにするとか、等電点を調べるというのは、かなりそれなりのものが必要です。そこの前の段階まではご自分でやれます。難しいところは、できる施設にお願いして、例えばIgGだけ精製して頂いて、普通に電気泳動するとかすれば、ノイラミニダーゼの処理まではできると思います。特に免疫固定法でもセア膜を使った固定法もありますし、今回使ったアガロースを使った免疫固定法などは抗血清さえあれば、電気泳動した後に、その上に抗血清に湿らせたセア膜をのせるということで簡単にできます。免疫電気泳動でも、同じことですので一つづつ、自分がどこまでできるか捜して行けば、その電気泳動だけじゃなくて、別の支持体で流すのも一つできるようになれば今回の発表の半分くらいはご自分の施設でできるかと思います。

  • (司会者)免疫固定電気泳動法については先程も述べましたが、操作が非常に簡便で小さな検査室でも十分実施が可能です。支持体としてセパラックスSP膜やアガロースゲルなどを使用し、費用もそんなにかかりません。ただ今回使用したサブクラス抗血清は非常に高価ですので、サブクラスまでどうしても同定したい場合は、大きな施設などに依頼するのも一つの方法だと思います。しかし、通常のM蛋白の同定だけであれば自分の施設で十分できますので、ぜひ挑戦してみて下さい。疑問に思ったらまずやってみること。そこから新しい発見が生まれてくるものと思います。

  • (発言者K)ありがとうございました。

  • (発言者)免疫固定電気泳動法を用いてサブクラスの同定をぜひ行いたい症例があるのですが、おっしゃるように抗血清が高価なものですから購入を迷っています。お勧めの抗血清がありましたら教えて下さい。

  • (司会者)今度、生物物理化学(43:177-180,1999)に、IgG、IgAサブクラス抗血清の特異性について検討した結果を報告していますので参考にして下さい。Western blotting分析法と合わせて検討した結果、MBL社が扱っているThe Binding Site社のものは特異性の点でも問題はありませんでしたので、ぜひ試してみてください。

  • (発言者)通常の免疫固定電気泳動を行う条件下でほぼ良いのですか。

  • (司会者)そうです。The Binding Site社から市販されている免疫固定用のMINIFIXキットの大きな特徴は、1枚のゲルで1検体を分析する標準タイプとは異なり、トラックの幅を狭くして2検体を同時に分析できる点です。したがって、通常のM蛋白の同定とサブクラスの同定を同時にできますので試してみて下さい。

  • (発言者)ありがとうございました。

  • (司会者)最後の質問ですが、この症例はIgG4ということですが、IgG4というとアレルギーとの関連性があり、その点はいかがだったでしょうか。

  • (発表者)全部調べてみたんですが、寄生虫の検査とか指摘ありましたので、しらべてはみたんですが、関連性のある異常データはまったくなく、やっとここにくる2日前に患者さんの骨髄穿刺が行われ、その骨髄の結果ではまだミエローマとはとれていません。ミエローマの可能性もありますが、反応性という部分もあるので、確かにIgG4の上昇する中にそういった炎症とかの部分もあると思いますが症状としてはありません。

  • (司会者)助言者さんが組織委員長を務めた今年の国際電気泳動学会では、11ヶ月で良性M蛋白血症から典型的な骨髄腫に移行した症例も報告されましたので、良性といっても短期間で悪性に転化する場合もありますので、ぜひ経過観察を十分に行い、臨床側への情報提供をこれからも心がけていただけたらと思います。頑張ってください。

  • (発表者)ありがとうございます。

  • (司会者)ありがとうございました。(拍手)



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