第 5 回発表・抄録番号 1

セパラックスSP膜で波形帯を生じた1例

【症 例】

ザイモグラム 分画報告書

 
泳 動 所 見蛋白分画 β分画の増高。波形帯。
免疫電気泳動 IgA−κ型M蛋白。
 
その他の検査所見生化学的検査 総蛋白とIgA が著増。
血液像 貧血。赤血球に強い連銭形成が見られた。
骨髄像 細胞の大半が変質細胞で占められていた。
粘稠度 簡易法にて測定し正常の12〜3倍の粘稠度を有していた。
 
検 討 事 項 
  1. 全自動装置と用手法の比較→強さの違いはあるが、いずれも波形帯を呈した。
  2. 泳動条件(0.4mA/cm定電流、120V/22cm定電圧)の比較→電流を低くすると波形帯はやや弱くなったが、いずれも波形帯出現。
  3. 支持体の違い(セパラックスSP、セラフォー、セレカX、セパラックス、セパラックスS)→塗布点から移動したM蛋白は波形帯となったが、塗布点がβ位置のセパラックスSでは陽極側にも陰極側にも移動せず波形帯にはならなかった。
  4. 蛋白量の違い→検体希釈系列を作製し泳動したところ、蛋白濃度が低くなると波形帯は生じなくなった。
     
ま と め セパラックスSPでは出現しないとされていたM蛋白による波形帯はある条件が揃ったとき、まれに出現すると考えられた。
 まず第1にM蛋白の分画点が塗布点から離れているとき。
 第2にM蛋白量が多いとき。
 第3にM蛋白の粘稠度が非常に高いとき。
 

【解 説】

  1. SP膜は、セパラックスに比べて波形帯が全然生じないといわれていた。逆に波形帯がでないことによって、それまで波形帯によりIgGかIgAのM蛋白、多発性骨髄腫であるという推定ができたのができなくなるという問題が生じたほどで、その代わり精度良く計れるということになっていた。この症例では、SP膜でも波形帯も起こり得るということを発表して頂いた。

  2. この症例はIgA が非常に高く、患者さんは血液疾患として治療を受けることになった。あまりにも粘稠度が高いために、骨髄腫瘍のほかに過粘稠症候群という病名も付いた。ただちに血漿交換療法を行い、その結果IgA の量が9500から4500〜5000位まで落ち、波形帯は生じなくなった。蛋白量にして10g位のところで波形帯になるのではないか。

  3. 波形帯が出ると、分画値%の歪が出てくるが、希釈して分画値%を変えることはせず、あくまでも分画パターンと流した膜を添付してこのような状態であるということを報告するのがよいと思う。治療して波形帯が消えてくれば、治療効果があったといえると思う。
    セパラックスで起こるようなものすごい波形帯の場合は、デンシトの光の通るところによってだいぶ値が変わってしまうが、ここで見てる程度の波形帯であれば、そのまま報告すべき。


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