| 【症例へのコメント(2)】
- (司会)これからどのように検索を連めるべきかということですが、一つは経過観察がもちろん必要となってきます。数年後に悪性に転化した例も報告されていますので、必ずフォローは必要だと思います。それから、M蛋白の性状については、糖鎖によって修飾されているかどうか、ノイラミニダーゼ処理を行い、確認して下さい。
- (助言者)β位に出現するIgG型M蛋白というのは確かに、非常に例数としては少ないと思いますけれども、じゃあ稀かというとそれほどでもないんです。各病院においては、意外と少ない症例かもしれません。IgG4の可能性もあるし、ひょっとするとその一部が、構造異常を起こしているようなM蛋白かもしれません。
例えば、二重硫黄結合がうまく結合できなくて、非共有結合でH鎖とL鎖が結合しているのであれば、還元剤で処理しなくても分かれていく可能性もありますね。本例は確かに普通のM蛋白ではありえませんから、ひょっとするとごくわずかなアミノ酸の置換みたいなものが起こっているかもしれない、という可能性は一つあります。
臨床的にはどうかといいますと、確かにIgAはむしろコントロールに対して増えているというのがあって、通常のIgGも減っていませんから、いわゆる良性のM蛋白の可能性があるのではないか。但し、もう一つ注意しなければならないのは、尿の中に、Bence‐Jones蛋白のように悪性M蛋白に伴う異常所見がないかどうかを確認すべきで、尿の蛋白分画はぜひおやりになってください。熱試験だけでは陰性であることはいえませんから、尿の蛋白分画を推奨したいと思います。
この症例は70才の男性で、1ケ月前から腰痛、膝の痛みがあって、糖尿病は、高血圧があって、糖尿病は食事療法と運動療法で血糖値が正常になっているということですから、データ上では糖尿病かどうかわかりませんね。去年糖尿病発症とすると、病期が短いので糖尿病三大合併症は考えられないし、膝が痛いとか、腰痛というのは違う病態と考えられて、糖尿病ともM蛋白とも直接関係ないのではないか。
ただ、高槻教援が言っているクロー深瀬病というのがあるんですが、M蛋白が出ていて、尿中にBcnce−Jones蛋白が少し出ていてということで、神経症を合併しているのかどうかということです。そこを見分ける意味でも尿の蛋白分画をおやりになったほうがよい。
そういうものが異常でなくても、中程度のM蛋白ですからごく微量でもないということで、こういう症例は20年30年経ってきますと突然、ミエローマに転換するということも十分考えられます。1年に1回はぜひ、フォローしていただきたい。
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