【症例へのコメント】
- (司会)整理しますと、悪性リンパ腫例でfast-γ位にIgM型のM蛋白が検出され、免疫固定を行ったところ、全ての特異抗血清でMバンドが形成されたことから、M蛋白が支持体と反応しているのではないかということです。
その確認は、「普通に蛋白泳動を行い、そのままで脱蛋白。染色したら、同じ位置にバンドが出た」という方法です。M蛋白が支持体と反応しているかどうか確認するには、最も簡単な方法ですね。
ただ提示された泳動パターンを見てみますと、メルカプトエタノール処理法に若干問題があるようです。免疫電気泳動では、IgM型M蛋白のL鎖の同定はしばしば困難であり、このような時は血清を2-ME処理して泳動を行うわけです。通常の2-ME処理法は、血清300 μLに0.1 mol/L、2-MEを1滴(50 μL)加え、37℃、2時間インキュベートします。これによりIgMは沈降定数19Sから7Sに分解され、抗L鎖と容易に反応できるようになります。ただ、2-ME濃度が高くなるとS-S結合がかなり切断され分解を受けますし、一定濃度以上では蛋白が変性によってゲル状になることがあります。今回の場合、2-ME濃度がかなり高い可能性が考えられますので、自分で試薬を作成し、もう一度、泳動パターンを確認したほうが良いと思います。
- (助言者)リュウマトイド因子はどうですか。
それから未処理検体のイムノフィクセイションで全部の抗血清に反応しているというのは、膜に吸着しているということですか。M蛋白が膜に粘着すると、GもAもκも反応するんですか。
- (司会、助言者を受けて)今回の症例では、M蛋白が支持体と反応し吸着したため、脱蛋白操作を行ってもM蛋白のみが残り、如何にもM蛋白が全ての抗血清と反応しているかのように見えるのではないかと思うのですが・・・。
電気泳動後、特異抗血清と反応させず、すぐ脱蛋白操作を行い染色してみますと、明らかにM蛋白のみが残り染色されていますので、M蛋白と支持体との反応が強く考えられると思います。
- (助言者)他のものもへばりついているということですね。
もう一つの考え方はイミューンコンプレックスではないかということです。IgMのM蛋白がリュウマトイド因子の活性を持っていて、他の蛋白質IgAとあるいはIgGと特に結合して、それらがポリクローナルなものですから、分子量が大きいので、そこへへばりついてみんな反応するということもあるんです。それでリュウマトイド因子はどうですか、とお聞きしたのですが。
- (発表者)リュウマトイド因子についてはちょっと気がつきませんでしたけれども。
この支持体でフィブリノーゲンなんかも吸着してしまいまして、やはりすべてのところに出てまいります。
- (助言者)イミューンコンプレックスとかフィブリノーゲンみたいに、巨大分子になっているものは付着しやすいのです。それは確認しないといけませんね。よくIgMのM蛋白がリューマトイド因子の活性を持っているものがしばしばありますから。
- (司会)もし、この検体が残っていましたら、ぜひリウマトイド因子の検索も行ってみて下さい。
- (助言者)なぜこの様な中でM蛋白ができたかということなんですが、炎症か悪性リンパ腫か。悪性リンパ腫の組織酵素抗体をぜひやってみてください。
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