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− 臨床意義編 −


1.分離するって、どういうことでしょうかあ? 担当者

 まず最初に、次の大前提をよく覚えてください。


分析化学とは、定性的、定量的に物質を特徴づける学問


定性
あるものが含まれているかいないかを調べる

定量
あるものがどのくらい含まれているかを調べる


分離分析とは


その1 分離測定
目的成分以外の物質(とくに目的成分の測定を妨害する物質)を分離除去して、目的成分のみを分析すること

その2 分画測定
目的成分自身をいくつかの種類に分離し、それぞれを分析すること


 生徒 含まれているかいないかを調べる意味はあるんですか

 担当者 もちろんです。たとえば、尿中には蛋白や糖は検出されないのがふつうで、検出された場合は腎臓病や糖尿病の可能性が出てきます。健康診断では、「健康であることを確認する=尿中には蛋白や糖が検出されないことを確認する」のが目的ですから、費用や手間をかけて正確な量を測定するより、あるかないかを簡単に調べ、検出された人の分だけ正確な量を測定したほうが効率的です。

 生徒 妨害物質の分離除去も電気泳動でやるんですか

 担当者 できないことはありませんが、もっと簡単確実に分離除去できる方法を用います。電気泳動は、分画測定のために行うのが一般的です。

 生徒 電気泳動は半定量だと聞いたのですが

 担当者 半定量というのは、分画測定のうち、目的成分を分離した後どの種類がどの程度の割合で含まれているか(あるいはいないか)を判定する方法のことです。割合は、ひとつの種類が極端に多かったり少なかったりすると、ほかの種類の値も大きく影響を受けてしまいます。そのため、定性よりは情報が多いけれども正確な定量ではない、定性と定量の中間、という意味で半定量と呼ばれているのです。

 生徒 なぜ割合で判定するんですか

 担当者 目的成分をいくつかの種類に分離し、特定の種類の有無を判定するのはとても簡単にできます。また、どの種類がどの程度の割合で含まれているか(あるいはいないか)を判定することも比較的簡単にできます。分離したそれぞれを正確に定量するのは手間がかかるため、あまり行われていません。
 割合で判定する方法は、目的成分全体の量がわかっていればそれぞれの種類の量が推定できますし、増減もつかめ便利ですから、広く利用されているのです。



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