第10回 リレー講演より「日常遭遇する特異検体の解析」(17)


IgA2アロタイプの比較

 正常ヒト血清中では、IgA1とIgA2の構成比が93:7と圧倒的にIgA1が多く、本症例のようなIgA2型M蛋白例は極めて稀であります。IgA2はIgA2m(1)とIgA2m(2)との2つのアロタイプからなり、両者には構造上大きな違いがあります。IgA2m(1)は、スライド左の矢印に示した如く、H鎖とL鎖の間にS-S結合がなく、2本のL鎖間でのS-S結合により二量体を形成する構造をもっています。

 従って、IgA2m(1)は非還元下SDS-PAGEで容易にL鎖の二量体を遊離する性質があります。本例においても、非還元下SDS-PAGEで遊離のκ鎖が確認され、従来のIgA2m(1)の性状と一致していましたが、他のIgA2m(1)型M-蛋白例と比較しますと、分子量約48,000の二量体の遊離κ鎖よりも分子量約24,000の単量体の方が量的にはるかに多く、2本のL鎖間でのS-S結合が非常に弱いか、他の非特異的結合のよって2本のL鎖が結合している可能性が考えられます。
 このような構造異常を示し、しかもmidからslow-γ位に易動度を持つIgA2m(1)型M蛋白例の報告は初めてと思われます。



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