| 【症例へのコメント(1)】
- (司会)通常の5分画で、β分画だけが高いということで、検査室から免疫をやった方がいいんじゃないか、と言われたわけですね。もしβ分画が高くなくて、正常であれば、そのまま結果を出していたであろうし、或いは、高くても、自分で疑問に思わなかったら、そのまま見逃されている可能性があります。
- (発表者)このようなケースはよくあります。疑問に思わずに、そのまま結果を返したり、先生もほっておくという感じです。みなさんに指導していただきたいのですが、このような症例がでた後、どういうことをしたらいいか。我々の施設では日常検査しかしておらず、また免疫固定法なども現段階ではおこなっていません。従って先生の方に免疫電気泳動の依頼を追加していただくようにしている。といった方法で行っていますが、なかなか前に道まないといった現状であります。それと先生から今後どうするのか、患者は別にどうもない少し腰が痛い、下半身がしびれるという状況で何か治療をしなけれぱならないのかと我々に聞いてきます。今度、先生に聞いてきますということで、こちらにまいったわけですが、このあたりお教え頂きたいと思っております。
- (司会)皆さんもご存知のように、免疫グロブリンというのは不均一な蛋白ですので、α2領域からγにかけて幅広く存在しているわけです。ですからα2とか、今はβですけど、α1領域でもそういうMバンドが認められることがありますから、それはどこの位置に出ても、不思議ではないわけです。
外注先の報告書には、M蛋白がγ分画に入っていて、βには記載がなかったということですが、IgGというのはγ位に1番多くありますから、それで便宜上γ分画に記載しただけだと思います。抗ヒト血清でも正常と比較してみれば、わかると思います。
- (発表者)あの報告書では少しわかりにくいと思いました。特異抗血清による同定があれば別ですが・・・。
- (司会)今回の発見の端緒というのは、β分画が高いというところからですが、βが正常の場合、見逃されますよね。ではどこで、注意するかということなんですけれども、ポイントというのは、βが正常であってもγが非常に低い場合、低γというのは非常に危険というか、注意が必要です。Bence‐Jones型のM蛋白というのは、β分画に出現する頻度が高いんです。そして、β分画のバンドの位置に隠れてしまって、Mバンドの判定が困難になってきます。ただ他の免疫グロブリンが抑制されてきますので、γ分画は低値になってきます。その場合は、免疫電気泳動あるいは免疫固定電気泳動を行う必要があります。
この症例でもγ分画低値の可能性はありますけど、免疫電気泳動のパターンを見る限りでは、その他の免疫グロブリンのIgA、IgMは減少してないんです。だから、そういう点ではまず、悪性の疑いは少ないと思います。
こういう症例というのは、非常に珍しいというわけではなくて、頻度的にはたまにあることですので、十分注意する必要があると思います。
それでは、この症例について解説してみます。
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