次にLDHサブユニット欠損症についてお話致します。LDHサブユニット欠損症のホモ接合体では、通常アイソザイム分析で血清、生体試料ともLDH5またはLDH1のみしか観察されません。H型サブユニット欠損症は虎ノ門病院の故北村先生らによって最初に報告されており、この例では、赤血球のLDH活性は著しく低下し、解糖の障害が観察されるが、重大な症状を伴わず溶血等の所見も示しておりません。 一方M型サブユニット欠損症は浜松医大の菅野先生らがミオグロビン尿を主訴とした患者から最初に見出しております。この例ではLDHの低値ということではなく、CKとLDHのデータ解離を発端としてLDHアイソザイム分析により見出されています。臨床症状としては、運動に伴う筋硬直とミオグロビン尿が認められ、ATP産生を伴わない解糖が行われることが確認されております。遺伝子レベルでの検索では、Mサブユニット遺伝子のエクソン6の20個の塩基の欠落が証明されております。 | |
![]() | その他、血清、赤血球ともLDH活性が低値を示しLDH5に加え、LDH4も見出される不完全欠損例も報告されています。スライドは我々が経験したその実例です。血清のLDHアイソザイム分析ではLDH5 のバンドのみが観察されましたが、赤血球と血小板ではLDH5 の外に痕跡程度のLDH4のバンドが観察されました。 |